助成金を活用したいが、自社の事業が対象になるのかわからない、どの助成金を選べばいいか迷っている企業は少なくありません。実は、助成金対象事業は幅広く設定されており、正しく理解すれば多くの企業がチャンスを掴めます。
本記事では、助成金対象事業の種類から選び方、申請成功のポイント、実際の活用事例まで徹底解説します。
こんな企業におすすめ
- 自社が助成金対象事業に該当するか知りたい
- どの助成金が自社に合うか選び方がわからない
- 助成金を活用して新規事業・設備投資を進めたい
- 他社の成功事例を参考にしたい
助成金対象事業とは?基礎知識を押さえる
助成金対象事業の定義
助成金対象事業とは、国や自治体、民間団体が定める政策目的に沿った事業活動に対して、返済不要の資金援助を受けられる事業のことです。
対象となる事業は、以下のような社会的・経済的価値を生み出すものが中心です。
- 雇用の創出・維持:人材育成、リスキリング、雇用安定
- 地域経済の活性化:地域振興、観光促進、農業支援
- 技術革新・DX推進:IT導入、設備投資、研究開発
- 環境保護・SDGs:省エネ設備、再生可能エネルギー導入
助成金と補助金の違い
| 項目 | 助成金 | 補助金 |
|---|---|---|
| 所管 | 主に厚生労働省 | 主に経済産業省 |
| 対象事業 | 雇用・人材育成が中心 | 設備投資・技術開発が中心 |
| 採択率 | 要件を満たせば原則受給可 | 審査あり(採択率20〜50%) |
| 予算 | 通年で受付 | 予算上限あり・公募期間限定 |
| 返済 | 不要 | 不要 |
助成金対象事業の特徴
助成金は要件さえ満たせば受給できる確実性の高い制度です。補助金のように「競争に勝つ」必要がなく、計画的に活用できるのが大きなメリットです。
助成金対象事業の主な種類
①雇用・人材育成系の対象事業
最も多くの企業が活用できる助成金対象事業です。
| 助成金名 | 対象事業 | 補助率・額 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 (人への投資促進コース) | デジタル・AI研修、リスキリング | 最大75% |
| キャリアアップ助成金 | 非正規→正社員転換、賃金引上げ | 1人あたり最大72万円 |
| 雇用調整助成金 | 休業・教育訓練で雇用維持 | 休業手当の最大90% |
| 65歳超雇用推進助成金 | 高齢者の雇用促進 | 最大160万円 |
②設備投資・IT導入系の対象事業
DX推進や生産性向上を目指す企業向けの助成金対象事業です。
- IT導入補助金:ソフトウェア・クラウドサービス導入(最大450万円)
- ものづくり補助金:革新的な製品開発・設備投資(最大5,000万円)
- 事業再構築補助金:新分野展開・業態転換(最大1.5億円)
③地域振興・環境対策系の対象事業
- 小規模事業者持続化補助金:販路拡大・広告宣伝(最大200万円)
- 省エネ補助金:省エネ設備導入・エネルギー効率化
- 地域雇用開発助成金:地方での事業所設置・雇用創出
対象事業選びのポイント
助成金対象事業は多岐にわたるため、自社の課題(人材不足・売上減少・設備老朽化など)を明確にしてから、それに合う助成金を選ぶことが重要です。
助成金対象事業の選び方
ステップ① 自社の課題を整理する
まず、何のために助成金を使いたいのかを明確にします。
✓ 課題別の助成金対象事業
- 人材不足 → 人材開発支援助成金(研修でスキルアップ)
- 業務効率が悪い → IT導入補助金(システム導入)
- 売上が伸びない → 小規模事業者持続化補助金(販路拡大)
- 設備が古い → ものづくり補助金(設備更新)
- 新規事業を始めたい → 事業再構築補助金
ステップ② 業種・規模で絞り込む
助成金対象事業には、業種・従業員数・資本金による制限がある場合があります。
| 業種 | 中小企業の定義 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 資本金3億円以下 または 従業員300人以下 |
| 卸売業 | 資本金1億円以下 または 従業員100人以下 |
| 小売業・サービス業 | 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下 |
ステップ③ 受給要件をクリアできるか確認
⚠️ 助成金対象事業の基本要件
- 雇用保険の適用事業所であること
- 労働保険料の滞納がないこと
- 就業規則が整備されていること(従業員10名以上)
- 過去に不正受給がないこと
- 事業計画書を提出できること
助成金対象事業の活用成功事例
事例①:製造業 DX人材育成で生産性が1.5倍に
企業概要:従業員80名の金属加工メーカー
課題:工場の自動化を進めたいが、IoT・AIを扱える人材がいない
活用した助成金:人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
対象事業:生産技術者20名にIoT・データ分析研修(60時間)
導入効果
- 研修費用450万円のうち337万円を助成金でカバー
- 生産ラインの稼働率が85%→98%に向上
- 1人あたりの生産性が1.5倍に改善
- 年間約1億円のコスト削減を実現
成功のポイント:社労士に相談して計画届を適切に作成。研修内容を実務に直結させることで、即戦力化に成功した。
事例②:小売業 IT導入で在庫管理を効率化
企業概要:店舗数15店舗のアパレル小売
課題:店舗間の在庫が把握できず、欠品・過剰在庫が多発
活用した助成金:IT導入補助金
対象事業:クラウド在庫管理システムの導入
導入効果
- システム導入費用300万円のうち150万円を補助
- 在庫回転率が2.1倍に向上
- 欠品による機会損失を年間2,000万円削減
- 棚卸作業時間が従来の1/3に短縮
成功のポイント:事業計画書で「在庫最適化による売上向上」を具体的に示し、採択を獲得。導入後のデータを活用して次の施策にも展開中。
事例③:飲食業 非正規社員の正社員化で定着率アップ
企業概要:店舗数5店舗の飲食チェーン
課題:パート・アルバイトの離職率が高く、採用コストが膨大
活用した助成金:キャリアアップ助成金
対象事業:パート8名を正社員に転換
導入効果
- 1人あたり57万円×8名=456万円を受給
- 離職率が45%→15%に低下
- 採用コストを年間300万円削減
- 社員のモチベーション向上により、顧客満足度が20%アップ
成功のポイント:正社員転換制度を就業規則に明記し、要件をクリア。転換後6ヶ月経過で申請できることを把握し、スムーズに受給。
助成金対象事業の申請でよくある失敗
✗ 失敗パターンと回避策
- 計画届を出す前に事業を開始
→ 助成金は事前申請が必須。開始後は受給不可 - 就業規則が未整備
→ 従業員10名以上は労働基準監督署への届出が必要 - 労働保険料を滞納している
→ 受給資格を失うため、必ず納付する - 申請書類の記載ミス・不備
→ 社労士に依頼するのが確実 - 支給申請の期限を過ぎる
→ 事業終了後2ヶ月以内に必ず申請
まとめ:助成金対象事業を正しく選んでビジネスチャンスを掴む
本記事の重要ポイント
- 助成金対象事業は幅広い:雇用・人材育成、設備投資、IT導入、地域振興など多岐にわたる
- 自社の課題から選ぶ:人材不足ならリスキリング、業務効率化ならIT導入など
- 要件を満たせば受給できる:補助金と違い、助成金は競争ではなく要件クリアが鍵
- 事前申請が絶対条件:事業開始前に計画届を提出しないと対象外
- 社労士の活用が成功の近道:初回は専門家に依頼することで確実性が高まる
助成金対象事業を正しく理解し活用すれば、自己負担を大幅に抑えながら新規事業・設備投資・人材育成を進められます。自社に合う助成金を見つけて、新たなビジネスチャンスを掴みましょう。